パン屋になる。vol.5

何はともあれ、町工場の釜場担当になった。
1人で、こなさなければならない。

ホイロ(醗酵室)の扉を開けて、パンの発酵具合を確かめて、
OKならホイロから出す。
ホイロは6畳くらいの部屋になっており、スチームが蒸気をあげている。
私の開ける扉の反対側から、成形担当の人がラックごとパンを入れるのだ。
それが、いつ入ったのかわからないから、
私は常に出たり入ったりしながら、発酵状況を確かめる。

1つのラックには、天板が最大24枚。
菓子パン、クロワッサン、食パン、フランスパン、
すべて、このホイロから、どんどん出てくる。
温度は、40度以上、あったと思う。

今から思えば、どうかと思いますが・・・・。

ホイロから出してきたパンに
つやだしの、塗り卵もしなければいけない。
(厳密には、卵、ではない)

朝6時から、12時過ぎまで、ひたすら焼きまくる。
休む暇などなかった。
なにせ、1人、だから。

オーブンの脇にペットボトルの2リットルの水。
飲みまくるが、汗に変わる。
13時頃まで、トイレに行きたいと思わない。
すべて、汗で流れ出ているのだ。

ふらふらになりながら、13時に昼飯。
午後からは、次の日のパンの成形に加わる。

ただ、ほかの人より早く、そして、綺麗に、
それだけにこだわって作っていた。
正直に言うと、楽しくはなかった。
なぜなら、
「いいパンを作りたい」
という志で作っている人がいなかったからだ。

今は、何でも吸収せねばならん!
と、自分に言い聞かせなければ、とてもじゃないがやっていけそうになかった。
当時は、そう思っていた。

と同時に、早くここを出て行きたい、とも。
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by yui-2910 | 2009-09-10 22:36 | pann
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