パン屋になる。Vol.7
パン工場の釜場で働いてた頃、
それとは別にやっていたことがある。 家族が食べる朝食のパンを作る。ということだ。 パン工場の仕事は、朝6時から3時までだった、が、 たいがい、5時くらいまでの残業だった。 家に帰って来るとまっさきにパン作りに取り掛かった。 毎日毎日、次の日の食べるぶんだけ作っていた。 時折、大量に作り、友人知人に食べてもらった。 単純に、楽しかったのだが、 周囲には、そう見えなかったらしい。 仕事でパンに携わり、家でもパンを焼いている。 何かに取りつかれたように。 確かに、当時のことを振り返ってみると パン以外のことは眼中になかったと思う。 毎日毎日、パンの仕事をしているのだから、それなりにパンを作ることができるようになった。 しかしながら、まったく確信は持てない自分がいた。 作りたいものが作れない、どうすればいいものが作れるのかわからない、 そもそも、いいパンとは何なのか?、どうすれば、「一人前」といわれるのだろうか? 全く、わからない。 だから、作り続けて自分で確信を持つことしか考えなかったのかもしれない。 3年間、ギターに触らなかった。 意識的ではなく、意識が「パン」にしか行かなかった、のだ。 そういった日々を過ごしながら、ある日にのこと。 本屋に行って、パン関係の本をあさっていると、1冊の本が眼に止まった。 タイトルは パン「こつ」の科学 著者は大阪のエコール辻学園の吉野精一さん。 この本から、私は多くのことを学んだ。 仕事場の菓子パンが時々「へたる」のは、なぜだろうか? 家で作ると普通の色やのに、工場のフランスパンもどきは、なぜにあんなに生地が白いのか? 製法による差異は何か? いい粉とはなんぞや? 家のフランスパンは目が詰まるのはなぜ? などなど・・・・。 私の疑問をかなりの度合いで解消してくれた。 と、同時に、工場で「正しい」と教えられた知識が、 必ずしも正しくないのだ、と、教えられた。 もっと、自分で勉強しなければならないと思った、 貴重な1冊だった、のです。
by yui-2910
| 2009-10-15 22:48
| pann
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