パン屋になる。Vol.12

工場でのルーティンワークをこなしていたある日。
折り込み専門のおじいちゃんがリバースシーターに手を巻き込まれて
左手を骨折してしまった。
「手がペラペラになったみたいだった。」と。

リバースシーターとは、デニッシュやクロワッサンのような
生地にバターを折り込んで均等に生地を伸ばす機械である。

焼き場。成形。仕込み。
あと私がやったこいとのないのが、この「折込」である。

なにぶん、人手の足りない現場である。
私が「折込作業」を命じられた。

1つの生地が2キロだったと思う。
その生地に夏でも解けないバターではない、マーガリンでもない得たいのしれない、
「フラワーシート」なるものを層にしていく。
盛夏でも常温でも解けない。
不思議だった。
同様に、「メイプルシート」やよくある「チョコマーブルシート」も夏でも常温でOKだった。

とにかく、1日に20も30もその生地を作ることは、
私にとっていい勉強になった。

工場では、最初から最後までパンを作れる人がいなかった。
その人、その人の役割が決まっているからだ。
また、それ以上のことをl職人自体が求めていないからだ。

私のここでの学ぶべきものは、
もう、ここにはなくなっていた。

手を骨折したおじいちゃんが戻ってきたとき、私に言った。
「ひととおりやったなあ。」と。

1から10まで把握している職人は俺しかいないのだなあ、と少々自身過剰になりつつ、
ここには、もう、用はないのだ。と。

盛夏だった。
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by yui-2910 | 2010-02-21 01:05 | pann
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