日本のパン業界には、「天然酵母」という、摩訶不思議な言葉があります。
私が思うに、天然ではない酵母っていったい? と、思うわけです。 世の中には「天然」ではなく、「人工的」な酵母など存在するはずもなく、 しかしながら、「天然酵母」と言ってしまえば イメージ的に、「安心、安全」な感じがします。 おそらく、市販の「イースト」と区別するために登場した、 あいまいな言葉だと思われます。 ちなみに、「イースト」(yeast)は「酵母」という意味です。 俗に言う「天然酵母」は市販されてもいます。 「ホシノ天然酵母」や「白神酵母」などがそうです。 それぞれ、使い勝手が違いますが、個々のよさはあると思います。 さて、今回は「自家製酵母」について。 自家製酵母はフランス語で「ルヴァン・ナチュレル」といいます。 当然、その店で起こした酵母は、そこにしかないオリジナルという意味では とても大切なものです。 うちの店ではレーズンから起こした種を「リフレッシュ」、 つまり、「かけ継ぎ」しながら、かれこれ2年つなぎ続けてきました。 開店当初に起こした種は、ちょっとした不注意で、駄目にしてしまったので、 「2番目に出来た種」ということになります。 ![]() リフレッシュ直後の種。 これを繰り返し続けてるわけです。 ![]() 約5時間後の種。 3倍程度になってるでしょうか。 ![]() これをナイロンに密閉し、紐をかけ、さらにキャンバス地にくるみます。 そして、冷蔵保存します。 翌日、キャンバス地がパンパンに張っていたら、正常な種の完成です。 これを使って何種類かのパンを作ります。 独特の酸味があり、味わいのあるものになります。 この種はある意味、うちの店の生命線でもあります。とても大事なものです。 しかし、この種はうちのデニッシュやパンドミには使いません。 つまり、「イースト」には「イースト」の、 「ルヴァン」には「ルヴァン」の良さがあるのです。 両者とも、「安全」、です。 #
by yui-2910
| 2008-05-27 22:50
先日、とやまシティFMの収録に行ってまいりました。
ヨシモトカヨさんがパーソナリティの 「週刊のんびりー」。 テーマは、私が収録に行くということは、言うまでも無く、 アイリッシュミュージック、ではなく、パンですな。 ![]() シナモンの利いたパンプディングを作ってきてもらいました。 ![]() 例えば、何日か経ったパンもこうやってアレンジすることによって 新たに息を吹き返します。 これは作り手にとって、とてもうれしいことです。 また、 そういう、手間を自分で楽しむ時間こそ、 とても重要な気がするのです。 スローライフの第一歩は、すべて、そこから始まるのです。 ほとんどの人がそうであるように とてつもない忙しさとスピードで日々が過ぎていきます。 やっかいなことを、どんどん省略して、今があります。 一度知った贅沢を捨てることはできないように人間は出来ています。 ただ、自分で作る、という満足感も捨てきれないような気がします。 餃子は家で作ったら、うまいでしょ? ![]() しかし、うまく喋れんかったなあ。 でも、ごちそうさま!
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by yui-2910
| 2008-05-17 22:43
ゴールデンウィーク中に高山へ出かけました。
高山といえば、「トランブルー」。 デニッシュが絶品の名店ですが、今回はそれが本題ではありません。 東京の「日本パン技術研究所」で助手をやっておられた、 田中さんが去年オープンされた「ブーランジェ・タナカヤ」を訪れてみました。 ![]() 私も「日本パン技術研究所」におりましたときに、大変お世話になりました。 高山の駅前にあるこのお店。 こじんまりとした、雰囲気のいいお店です。 郊外ではなく、町のパン屋さんという点では、うちの店と同じですね。 違う点といえば、人の量でしょうか。(笑) ![]() スタッフが家族ということも うちの店にとっては、とても身近に感じます。 ![]() パンは作り手の人柄がダイレクトに出てくる食べ物だと私は思います。 それをあらためて思いました。 私がお世話になった西田の「ブレッド」のように。 町の中のパン屋は、その中での役割があると思うのです。 なにも、行列の出来るパン屋を目指す必要などないのです。 その中で必要とされるパン屋にならなくてはならないと、思います。 ![]() とても、いい旅、でした。
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by yui-2910
| 2008-05-08 23:08
| 日々の話
今日は石動の曳山まつりでした。
私も町内の、みこしに参加、などということはなく、 私の役割は、その担ぎ手の昼食のパンを作るということです。 店の方といえば、おかげさまで大忙しで、 かなり、沢山、仕込んだのですが 夕方には、ほとんどなくなり、何組かのお客さんには、ご迷惑をおかけすることとなりました。 ![]() 夜には、ひと気もなくなり、いつものような会社帰りの人もなく 静寂の中を曳山が帰っていきます。 また、来年の出番を待つことになります。 ![]() 友人の、うたうたいのヨシモトカヨがハーブで作った石鹸を持ってきてくれました。 なんか、使うの、もったいないなあ。こんな、顔してたんでじゃ。 でも、明日から、試してみましょう。 いや、少し、店に飾っときましょうか。 ![]() しかし、今日は疲れました。 さあ、明日、また 始まりますねえ。 #
by yui-2910
| 2008-04-29 22:31
パンを作るということは、とても楽しいことです。
音楽や芸術といった表現活動も含めた、すべての「もの作り」全般にも あてはまるかもしれません。 しかし、それら全ては楽しいと同時に、 なにかを生み出すときには必ずついて回る苦悩を伴うのも事実です。 そういった対極にある絶対矛盾がついてまわるから、こそ、 おもしろいのかもしれません。 どうも。 私は小矢部市は石動駅前にあるパン工房「ベッカライ福十」という、 小さなパン屋をやっております。 私は昔、パンが大嫌いでした。 その元凶は学校給食のコッペパンです。 当然、朝はごはんに味噌汁。 当時は給食に米食など月に数回しかなく、 おかげさまで給食は苦痛だったような気がします。 ある日、某店の「パン・ド・カンパーニュ」と「バゲット」を食べた日のことです。 こんなパンもあるのかと、驚きました。 やがて、自分で作ってみたくなり、家庭用のパンの本を買い求め、 見よう見まねで自宅のオーブンで作り始めました。 これが、結構うまくいくのです。 ますます調子にのり、その本の全てのパンを作りました。 しばらくすると、なにやら、確信がもてなくなりました。 どうやったら、あの時の「バゲット」が作れるんだろうと悩みました。 専門書なんかも、わからんなりに読んでは見たものの 基本的な根拠が、全くわからなかったのです。 そうなると 今までの仕事をあっさりと辞めてしまい、 パン屋さんで働くしかありません。 こうやったら、おいしいパンが出来るのだという確信が欲しかったんです。 そして、現在に至ります。 ![]() 写真は上が「バタール」下が「バゲット」です。 両方の製法を少し変えています。が、 フランスパンの基本的な材料は 小麦粉、水、塩、酵母、それだけです。 モルトや、ビタミンCも配合する事もありますが 基本はこれだけしかありません。 シンプルだからこそ、作り手に左右されるパンといえます。 その環境も含めて、発酵時間の見極めや丸めの力加減、 成形、焼成時間、温度、などにより、 全く違うものになったりするのです。 だから、楽しく、かつ、悩みます。 すべてはここから、始まったのです。 面白いものですね。 今日は、このへんで。 まずはご挨拶がてら。
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by yui-2910
| 2008-04-27 02:01
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